家に帰ったらシリンダーがもう一つ付いていた

home_cylinder私がまだ実家にいた若い頃の、我ながらワイルドだと思う話。高校を中退してパチンコ屋でバイトをしながら、その当時流行っていた伝言ダイヤルというシステムで、知らない子たちと知り合っては遊び歩いていた頃だ。

実家は母屋の他に離れがあり、私の部屋は離れにあった。電話は母屋と離れで共通で、私が友達と電話していると母屋の父親から、電話を使いたいから切れと文句を言われるということがよくあった。その都度軽い親子ゲンカだったが、私は親なんてバカにしていたから、あまり気にしていなかった。あまり親がうるさい時は、電話を切る代わりに夜の街に繰り出して行った。遊んでくれる友達は男女どちらでも沢山いたし、気ままだった。夜の街といっても、田舎だからコンビニとカラオケくらいしかなかったけど。

ある日、バイトを挟んで2日ぶりに家に帰ったら、離れの玄関にシリンダーがもう一つ付いていた。私の持っている鍵で開けられるのは最初からある鍵だけだから、私が鍵を開けられなくて、入れなくなるのがわかっての暴挙だ。これには私も頭に来て、新しくつけられたシリンダーを壊そうと試みた。しかしその鍵は小さく、ちょっと乱暴に扱ったくらいでは壊れそうもないように見えたので、すぐにそれを壊すことを諦め、離れの廊下にある窓ガラスに狙いを定めた。離れは元々古い建物だったので、廊下の窓ガラスも母屋や私の自室のものより古く薄い。廊下の外れの部分にエアコンの室外機があるから、この窓が開けば室外機を足場に中に入れそうだ。丁度よく足元に陶器の植木鉢カバーが置かれていたので、その植木鉢カバーを窓ガラスめがけて投げつけた。植木鉢カバーもろとも窓ガラスは割れ、そこから離れに入ることに成功した。

翌日になって親にすごく怒られ、ガラスの掃除などをさせられたのは覚えているがが、私にとってもそれが一番の、親に対する悪さだったと思う。

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